親から見たら、もしかしたら登校拒否に子供がなってはじめて、問題が発生すると思っている人もいるかもしれません。

うすうすちょっと様子がおかしいな、元気がないなと思っているうちに、ある日を境に不登校になり、親も子供も処理しきれない問題に発展したと思っているかもしれません。



どちらにしても、不登校が始まった日から問題が始まったわけではなく、もっともっと前から、子供はたくさんのストレスや恐怖感、孤独と戦ってきたんです。

僕は不登校になるまで、えらくエネルギーを費やして、やっと学校に通っていました。

前にも書いたけど、僕もそうだったですけど、不登校になる子供のほとんどは「学校に行かなくちゃいけないのに、学校に行けない」という板挟みで苦しんでいるわけなんです。



何で自分だけこんなに生きにくい状態になってしまったんだろう・・・・と思いながらも、必死で自分に鞭を打って学校に行ってました。

たくさんのことを模索したり、あれこれ解決方法を考えたりしたけど、学校恐怖症、対人恐怖症といったものは解決できないものでした。

そういう神経症(あるいはうつ病)による不登校のケースは、みんな「学校に行かなくちゃいけない」と思ってきた人間です。

だから、耐えながら登校してきました。

これをわかって欲しいと思います。



中には怠けて甘えて不登校になっている奴もいるけれど、うつ病の問題と同じく、そういう非常に少数の人間を例に挙げて、不登校=怠けているというレッテルを貼ると、ずっと耐えて頑張ってきた子供の心の行き場はどこになってしまうんでしょう?

背負いきれないからこそ、ついに限界が来てしまって、ボッロボロに疲れ果ててしまうんです。

そりゃ、部屋に引きこもりたくなるし、何をするにしてもやる気が起きないし、そんな自分に嫌悪感を持ったり、不安でいたたまれなくなって、しかも孤独で耐えているんです。

一日中布団に入って寝ていたり、ゲーム三昧になって昼夜逆転をしているのも、耐えすぎたからこその反動です

(だからといって、それをずっとやり続けるのは経験上ダメだと言っておきます。不登校ということを受け入れてくれた親のためにも自分を律して生きることはすべきです)



あまりに緊張しすぎて、更に鞭打って緊張させて生きてきた上に、親や世間は「学校に行け!」と言い放ちます。

「気の持ちようでどうにでもなる」「もうちょっと頑張って学校に行って」「根性が足らんぞ!」と言われたって、これ以上どう頑張れば?

これはうつ病の構図と同じですね。

うつ病の方に「頑張れ」という無責任な人がいますが、ものすごく頑張ってきた人間に鞭を打つような言葉です。



不登校はうつ病以上にそういう意味では理解されにくいのかもしれませんね。

だって、不登校は症状名ではないですし、僕の場合は学校恐怖症、社会不安障害だからこそ、不登校になってしまったわけですからね。

どうか、親御さん達は、不登校になったその裏の原因を見逃さないでください。そして努力を必死で続けてきて、ついに限界が来てしまったことも認めてやってください。

認めず上から強引に「学校に行け」と言われると、「あんたに俺の心がわかってたまるかー!!」と殻に閉じこもってしまうんです。



親に心を閉ざすってことは、あらゆる人間にも防衛本能を働かせてしまいます。

無理矢理学校にその後に行って卒業できたとしても、その子供がどうなっていくか、僕は想像が容易につきます。

幸せな人生になることはありえないでしょう。

宝くじに当たったとしてもです。

心の傷や問題は、決してお金では埋め合わせできないものです。

埋め合わせができない大きなおぞましい穴を一生抱えて生きることほど、悲惨なことはないと思います。



子供はそれまでかなり頑張ってきたはずです。

親は「それでも俺は乗り越えてきた。だからお前もできる」なんて言う人もいそうですが、親の頑張り以上に神経をボロボロにしながら頑張ってきた結果が、不登校です。

まずはその頑張りを受け入れて欲しかったです。認めて欲しかったです。

そうしたら、必要以上の否定的な感情を自分に対して、親に対して持てなかったはずです。